S0611 AI


永い事悲願になっていた「国産天然藍染」モデル。
ゆえにS0611AI最大のウリは、国産天然藍染めモデルであること。
太目の糸を使った厚手の綾織生地「カツラギ」をS0610CL以来久々に採用し、形成された物を藍染め工房にてほとんどの工程を手作業により染色。
こうした背景も、品番611という番号の由来になっているわけです。
ただし、カラーバリエーションは無く、藍色一色。これでは久々の600番台として少々寂しいので、後述の通りポッケトに乗せた色で3色のバリエーションを設定しています。

ちなみに本体の染色回数は、平均7回。

よく、十数回、あるいは数十回という染色回数を謳い文句にしている藍染めアイテムも見受けますが、染色職人さんとの打ち合わせにより、使用する藍の性格と工法から、最も効率の良い染め回数という命題に対してSAMURAIの出した回答が、この「7回前後、多くても9回程度」というもの。これ以上は濡れた布が一定以上水を吸わなくなるのと同様、濃度も上がらず手間とコストがかさむばかり。という結論に至ったもの。
もちろんこの回数は、職人さんが一本一本手作業で仕上げるからこそ。の、回数でもあるわけですが。

手にとって細部を良くご覧戴くと、クロッチ部分などに藍のとどいていない、生カツラギの部分も見受けられますが、このあたりが色落ちと、他の部分から乗ってきた色付きとの狭間でどのようになってゆくのかも、楽しみなところです。
さて、こうして染め上げられた土台に、以下に述べる内容を盛り込みました。

ウェストサイズは28,30,32,34(inch)と、2インチ刻みに4本用意。レングスは34インチのみ。

形状はストレート。
例によって後染め工程が、購入直後の糊落とし(ファーストウォッシュ)と同じ効果を持っていますので、新品の状態でも風合いが柔らかで、洗濯によって極端な縮みが発生してしまい、穿けなくなってしまうといったリスクも少なくなっています。
S0611 AIのスペック

ポケット

上記のようにして世に出されたS0611AIですが、糸から染めた生地を使った物と異なり、後染め染色法を採ったため、新品の時からアタリが出て柔らかな風合いを見せています。しかし縫製糸共々全体に藍が「乗って」いるために、あのジーンズ特有のステッチラインが映えず、手の込んだ手法を重ねた割には「地味」という印象...。
なので、ヒップポケットを別製して、パッチ共々後から縫い付けるといった大技も考えたりしたのですが、これははっきりいって「浮き過ぎ」になること必至。
では、染色後にシーガルステッチラインだけ入れる方法はどうか。と、これも縫製工場の方からの怒りを買うこと必至。
「それならステッチを形だけ染め抜きましょう」
と、ごく自然に出てきた発想と、ペイントステッチの印象が重なって、611AIはとことん「染め」で攻め込むことに。

シーガルステッチ
遊び心で「赤」「黄」「白」の3バリエーションを2001年サムライの夏シャツでもお馴染みかつ実績のある技法、抜染と着抜を各色に適材適所のセレクトで製作。
ちなみに3色共白色部分は「抜染」を使い、白色のモデルはそのまま、赤と黄色のモデルは着抜によって、それぞれの色を乗せています。
3種類ともに品番はS0611AIで表しますが、ポケットの色で区別して、赤は「611AIのアカ」、黄色は「611AIのキイロ」、当然白は「シロ」と呼ぶことで区別しています。もちろんこれは公式な呼び方ではありませんが。
また、ポケット関連の話題としてはコインポケットを持たない「4ポケット仕様」になっていることも特徴です。

縫製
縫製は一連のSAMURAI製品群に共通のステッチワークで、このモデルでは後染めモデルに共通するもの。
パッチに藍の色が乗ってしまわないよう、パッチを後付けとした結果、イッキ縫いは見送りに。しかしウェスト部分にはこれまで同様二重環縫いを施し、オシャレ系だろうがお構いなしに幅広のベルトループも健在。
もっとも、私たちはこの、さりげなく存在感を主張するベルトループの方が、変に細く作りつけた物よりはるかにオシャレだと思っているのですが。

前立て部
ジップフライを採用、金具は国産のYKK。サイズも一般的なものを使っています。これも先代のカラーモデルS0610CLからの流れによるもの。ちなみに610CLの「CL」とは「カラーバリエーション」の事。藍染めのみの今回は「藍」の「AI」となるわけです。この、染色に使用された天然藍に合わせて、トップボタンには2001年の夏シャツでお馴染み、タグワ椰子の実から削り出した自然素材「ナッツボタン」をつけてみました。

補強の定番個所にリベットは使用せず、すべてバータックで代用。この「本藍」モデルに使用されている金属部分はジッパーのみになっています。実は染色によって「生地が強くなる」という効果は、カツラギ素材と藍の間では極めて強力で、敢えてリベットを使用する必要が無かったことと、「天然藍染め」というところから始まった「ナチュラルなテイスト」を目指す流れからも、敢えてジーンズの特徴とも呼べる金属パーツを減らし、リベット打ちの工程が省略できる事により安価にお客様に提供できるというメリットを、今回は採りました。

パッチ
これまた先代の「610CL」から引き継いだ「殺陣(たて)」パッチ。背景はそのままで人物だけが左右を入れ替わっているというもの。

「カラーモデル」は当時においては少々異色の存在と言え、パッチの中で対峙する二人に少々アクションしてもらったもの。
だからといって、特に600番台モデルのための図案という意識は無いのですが、今回の採用で暗黙の実績というヤツが出来てしまったようです。

最後になりましたが、もちろんこのモデルも、ヤンピー製パッチを使っています。